声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


_1DX1886

銀河万丈の声優道

アニメでは「ラスボスと言えば銀河万丈」と言われるほど、威厳のある悪役の声を得意とし、また外画吹替えや『開運!! なんでも鑑定団』などのナレーションでもお馴染みの銀河万丈さん。これまで銀河さんが歩んできた声優道を、全3回のトークでお届けします。

プロフィール

銀河万丈 ぎんがばんじょう・・・11月12日、山梨県生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作は、アニメ『機動戦士ガンダム』(ギレン・ザビ)、『装甲騎兵ボトムズ』(ジャン・ポール・ロッチナ)、『タッチ』(原田正平)、『北斗の拳』(サウザー)、『交響詩篇エウレカセブン』(グレッグ・イーガン)、ナレーション『開運!! なんでも鑑定団』ほか多数。

③強い個性を持つクセのある役者にもっと出てきて欲しい

「何にもしていない」と思われるような芝居をしたい

1DX1991

 僕はこれまでアニメ、外画、ナレーションなどいろいろな仕事をやってきましたが、それぞれに面白さはあると思います。アニメは原音がないので、声をあてると「命を吹き込んだ」という実感がありますね、思い込みかもしれないけど(笑)。二次元のペッタンコの絵に命を吹き込んで存在させる、という感覚が気持ち良いんです。外画は、映像に出てくる人物に乗り移って、溶け合っていくような感覚。第三者が見てどうか分からないけど、演じていくと何となくその役に顔つきが似てくるんですよ。だから、凶悪なキャラクターをあまり長くやっていると、まずいですね(笑)。ナレーションは、番組全体を引き受ける、という気がすごくします。コンダクター(指揮者)のようなイメージでしょうか。

僕は欲張りですから、今後もどんな仕事でもやりたいけど、特に渋い洋画はやりたいです。最終的には、ヘンな言い方だけど「何もしない」というか・・。演じることを突き詰めていって自分自身と役柄がだんだん一つになっていくことができたら、ものすごく気持ちいいだろうなと思うんです。ため息一つでも、あれこれ考えてやるのではなく、ただ普通に「ふう~」とやったりして。そんな感じで、役だったり芝居というものができたら理想だと思います。もちろん演じる上ではいろいろ役を作っていくんでしょうけど、外から見たら「何にもしていないじゃん」と思われるような・・そういうところまでいけたら理想かな。こういう風に言うと何だか深そうだけど、行きつくところはそこじゃないのかなって気がします。

 

若い人たちは、もっとわがままになってもいい

朗読会などで若い声優さんとお会いすることもありますが、僕らの若い頃より、今の若い人たちの方が生き残るための競争が激しいでしょうし、いろいろ大変だと思います。まず、今の環境が気の毒ですね。もう少しベテランの方が大勢いる現場で仕事できた方が彼らにとって幸せなのに、そういう現場に恵まれていないのが気の毒だと思います。

本来、こういう業界に入って来るのは、“いい子”というより、もっとわがままで、「自分はもっとこうしたい」というものが根っこにある人たちだと思うんです。ところが、今はそういう人たちが認められない風潮になってきていますよね。たとえば「授業がつまらなかったら抜け出してもいい。結果が良ければいいんだ」という考え方をしてもいいと思うけど、そういうわがままさを出すと外されちゃうんです。それは時代としてどうしようもないことかもしれないけど。もっと受け皿の人たちが、わがままさを持った人に対してかなり広い心で受け入れていく余裕がないと、ちょっとつまらないですね。面白い人がいなくなっちゃう気がします。このままだと、つるんつるんの“いい子”ばかりが育っていって、クセのある変な子がいないという、役者としては一番つまらない駒の揃え方になっていくと思います。

技術面で言えば、僕たちの若い頃よりも今の若い人たちの方がはるかに上手です。でも昔の洋画の吹替えが面白いなと思うのは、みんな役者にクセがあったんですよね。「リチャード・ウィードマークだったら、どうしても大塚周夫さんで聞きたい」とか、そういう強烈な個性がいっぱいありました。僕らは昔の洋画などを観て「ああいう芝居をしたい」と憧れましたが、今の若い人たちは多分アニメーションに憧れて来ますよね。アニメだと、そんなに強烈な臭いのキャラが少ないから、みんな区別がつきにくい喋り方になってしまう。これでは、声優界の文化がかなり失われていくんじゃないかと思うんです。やはり強い個性を持った、臭みのある役者にもっと出てきてほしい。その意味でも、若い人たちには「もっとわがままになりなさい。上手に、外されないように、ずるくわがままでいなさい」と言いたいですね。

大事なのは、思い立ったときに行動すること

1DX1991

僕はスタートが遅かったけど、デビューして40年近くになります。これまで長く業界でやってこれたのは・・まぁ、半分以上は運でしょうね(笑)。ただ、貪欲であるということは大事だと思います。興味と言いますか・・そういうものがなくなっちゃうと枯れていっちゃうから。やっぱり人がやっている仕事や芝居が気になるってことはすごく大事ですし、僕自身もいろんなものに興味を持っていたいと思っています。今、気になっている役者は田中秀幸くん。以前あまりやっていなかった悪役づいていて、嬉々としてやっていますが、なかなか素敵だと思います。

自分の若い頃を振り返ってみると・・わがままというより生意気でしたね。まったく何の根拠もないのに、自信だけはありました。仲間と一緒に劇団を作ってはつぶして、その繰り返しでした。でも今思うと、やろうと思い立ったときに、即、行動に移していて良かったなと思います。若さゆえの行動力、とでも言うのでしょうか。物事って「いつでもやれる」と思っていたら意外とできないもので、思い立ったときにやっておかないと、後々「やっておけばよかった」と後悔しますから。朗読会『言-ごんべん-』も長く続けていますけど、あれもやろうと思い立ったときに始めておいて良かった。「いつでもやれる」と思っていたら、多分できていなかったでしょうね。

 

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

ページの先頭へ戻る