声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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かかずゆみの声優道

アニメ『ドラえもん』のしずかちゃん役をはじめ、ナレーション、ゲーム、ラジオなど幅広いジャンルで活躍する声優・かかずゆみさん。これまでかかずさんが歩んできた声優道を、全3回のトークでお届けします。

プロフィール

かかずゆみ・・・6月18日、埼玉県生まれ。アトミックモンキー所属。主な出演作は、アニメ『ドラえもん』(しずかちゃん)、『創聖のアクエリオン』(シルヴィア)、『機動新世紀ガンダムX』(サラ・タイレル)、『AKB0048』(片桐つばさ)、『ノブナガ・ザ・フール』(ヒラガ・ゲンナイ)、ラジオTOKYO FM『よ・み・き・か・せ』ナレーションほか多数。

 

②10年経ってようやく“私たちの『ドラえもん』”に

レポーターの仕事との出会い・・そして究極の選択

_DSC4568_196年のアニメ『機動新世紀ガンダムX』で声優デビューした私ですが、翌97年は、地方の旅番組のレポーターに合格し、ロケに出る事が多くなりました。アニメのレギュラー収録は基本的に週1回。不定期に入って来るロケとアニメレギュラーの両立は難しいということもあり、この年はレポーターを選択。1年間アニメから離れました。

レポーターの仕事は本当に楽しかったです。いろいろな体験をさせてもらえるし、一般の人では入れないところにまで入れてもらえるし。何より、カメラのレンズの向こう側を想像して、そこに向かってしゃべるということが好きだったんですね。自分が楽しみながら、それを伝える。「これほど楽しい仕事があっていいんだろうか?」と思うくらいでした。

その翌年(98年)も「レポーターの仕事を続けてください」と声をかけていただけたのですが、そうなると、またアニメの仕事はできなくなります。その頃アニメのオーディションも受け、運良く何本か合格。“演じる魅力”もありましたから・・相当悩んだ末に、アニメを選びました。素のままでいけるレポーターの仕事をとるか、また一から挑戦するアニメをとるか、究極の選択。ここが声優として覚悟を決めた年だったのかなと思います。

役者はすべての経験が糧になる職業

面白い事に、その後アニメの現場でいろいろな役を演じる上で、レポーター経験がすごく活きてきたんです。レポーターの仕事では、本当にいろいろな場所に行き、たくさんの経験をしたので。考えてみれば、私は演劇部や放送部など直接声優に関係するような部活はやってこなかったけど、吹奏楽部と水泳部で基礎体力を鍛え、腹筋や腹式呼吸が自然と身についていたのかも。大変だったけど、これも良い経験だったなと思います。本当に、役者っていろいろな経験が活きてきますよね。

部活に限らず、アルバイトひとつとってもそう。さらに日常で起きること、たとえば“友人に子供が生まれた”“知人が亡くなった”という出来事に対してでさえも、感じたあらゆる喜怒哀楽がすべて糧になっていく職業なんだろうなあと思います。現実の世界できっちりと感覚を研ぎすませていればいられるほど、役でもしっかり演技ができる。自分の経験さえあれば、あとは想像力で補うことができると思うんです。

覚悟を決めたこの年からは、アニメやゲームの仕事に恵まれました。途切れる事なく様々な作品に出られた事は、客観的に見れば“順調”だったのかもしれませんが、私の中ではいつも“かろうじて”次の番組に入れたという感覚。声優として10年経った頃にやっと「向いていたのかもしれない」と思えるようになったんです(笑)。というのも、元々声には自信がなかったから。人混みで通る声じゃないし、声量もあまりある方ではないし。声優としての私をイメージした方と初めて会うと、「こうやってしゃべっていると声普通なんですね」って言われるくらいです(笑)。

負けず嫌いな性格で“しずかちゃん”役をゲット!?

_DSC4458_1振り返ってみると、今まで出会った人や作品には本当に恵まれていたと思います。昔から「来たチャンスは逃したくない」という気持ちは強かったので、来たオーディションはどんどん受け、落ちたら「今はこの作品と出会うタイミングじゃないんだ」と開き直る。それが良かったのかなと思います。負けず嫌いの性格が災いして逃した役もありますけど・・(苦笑)。

「絶対この主役をとりたい!」と思って受けた作品の最終選考でのこと。質疑応答で「他の役でもいいですか?」と聞かれて「嫌です」と答え、まんまと不合格(笑)、他の役で入れたかもしれないのに!逆に、負けず嫌いが功を奏したのが、『ドラえもん』のしずかちゃんでした。

しずかちゃんのときは、作品が大きすぎて受かるとは思っていませんでしたから、最初は記念お受験的な感覚だったと思います。一次二次と進み、ある時、ずらーっと並んだ審査員からの質疑応答で、私だけ年齢を聞かれたんです。それまで声のオーディションで年齢を聞かれることなんてなかったので「?」と思い、思わず「年齢は審査に関係あるんですか?」って聞き返してしまったんです。審査員に楯突くなんて考えられない(笑)。

後から監督に「お前は、あのとき反抗したから受かったんだ」って言われました。「しずかちゃんはちょっと気が強いところがあるから、そこが良かったんだ」って。決まったときは、とにかく信じられませんでした。「宝くじに当たるってこういう気分なのかな? 本当に当たる(受かる)人がいるんだ」って、直後は興奮半分、冷静半分な感じでした。

こうして代表作ができたことはとても嬉しいです。『ドラえもん』を始めて10年経ちますが、ようやく「私たちの『ドラえもん』になってきたのかな」って感じられるようになりました。私が観てきた『ドラえもん』は、ドラえもんが大山のぶ代さんで、しずかちゃんが野村道子さんでしたから。自分が始めて5年くらい経っても「私のしずかちゃんって、本物だろうか?」という葛藤がありました。

応援してくれる人がいて、私たちは支えられているんだなって思いますね。私たちの『ドラえもん』を観て育ったお子さんがもう10歳。親御さんもきっと一緒に作品を観て、今のドラえもんにも慣れてきて・・。「こうやって作品は続いていくんだな」って思えたのが本当に最近なんです。長年多くの方々に愛されてきた『ドラえもん』だからこその難しさ、そしてやりがいは、やはり大きいです。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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