声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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丹下桜の声優道

アニメ『カードキャプターさくら』の木之本桜から『ガールフレンド(仮)』のクロエ・ルメールまで、一度聴いたら忘れられないくらい甘くてかわいらしい声で愛され続ける永遠のヒロイン声優・丹下桜さん。養成所時代やデビュー当時のことはもちろん、過去に表紙やグラビアを飾った本誌の思い出も語っていただきました。

プロフィール

丹下桜 たんげさくら・・・3月24日生まれ。ピクニック所属。
1994年、アニメ『ママレード・ボーイ』の佐久間すず役ほか、90年代後半にかけて数々のアニメやゲームに出演し、またラジオパーソナリティやソロアーティストとしても活躍。とくに主人公・木之本桜役を演じた『カードキャプターさくら』は現在でも多くのファンをもつ代表作となっている。
2000年代に入り声優業を一時休止するが、2009年に発売されたゲーム『ラブプラス』の小早川凛子役で活動再開。復帰を待ち望んでいたファンを喜ばせるとともに、新たなファンも増えることとなった。近年の主な出演作にスマートフォン向けアプリからTVアニメ化された『ガールフレンド(仮)』のクロエ・ルメール役などがある。

②欠点を欠点ではなくプラスに生かさないと

欠点を欠点ではなくプラスに生かさないと

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 今になって振り返ると、養成所のときがいちばん厳しく先生に教えられた気がします。おかげで現場に入ってからもそんなに慌てることなく済んで、養成所というワンクッションがあってよかったなと思いますね。現場は厳しかったというよりも、大先輩の前で緊張しました。いちばん年下の、いちばん新人だから、マイク前に立つだけでも足は震え、手は震え、ドキドキしてしまって……。TVシリーズのデビュー作はアニメ『ママレード・ボーイ』の佐久間すずという新人アイドルの役だったんですけど、初めての出番が「佐久間すずです! よろしくお願いします!」という皆さんにご挨拶するセリフだったから、その緊張も〝初々しい〟に転じたんですよね。すずちゃんと一緒に成長していけるようなお話も多く、当時の私と状況がぴったり合っていたという意味では本当に助かりました。

 養成所のときもそうでしたし、デビューしてからも苦手なことはずっと変わらず、イントネーションですね。今でも台本をいただいたら、電子手帳のアクセント辞典でチェックしてから、それを書き込んで読んでいます。愛知のイントネーションって抜けにくいみたいなんですよ。関西弁とかは切りかえやすいみたいなんですけど、愛知はなかなか抜けないですね。また、私は物理的にといいますか、舌の形状的に舌足らずなんですよ。その舌足らずさとイントネーションが私の欠点ではあるんですけど……なんということでしょう! 実際にお仕事をしていると、それが生かされることもあるんですね。訛る役やちっちゃい子の役、見た目は子供だけど中身は400歳くらいとか、そういう役をいただくことが多くて、欠点をいい意味で生かせるキャラに恵まれています。

 欠点をマイナスにしてしまったら本当にただの欠点にしかならないので、なんとかそれをプラスに換えようというのは自分でも思っていますね。みんな何かしら欠点はあると思うので、あとはめげずに、それといかに付き合っていくか。とくにアニメの場合はキャラクターの力が大きいので、日常しゃべると違和感があるようなことでも、キャラクターを通すと舌足らずだったり訛っていたりするのが魅力的に見えたりするとこもありますからね。『カードキャプターさくら』のさくらちゃんも10歳でしたし、本当にいい役にめぐり合えています。

 さくらちゃんは〝国民的妹〟なんて言われることもあって、声優としての復帰作となったゲーム『ラブプラス』は〝国民的ガールフレンド 〟これで私、国民的妹と国民的ガールフレンドを押さえましたよ(笑)。あとは何でしょうね? 国民的お姉さんかな? 年齢的には十分クリアしているんですけど、なかなか……。今でも私の声質だといちばんナチュラルに演じられるのが中学生くらいから高校生くらいなんですよ。でも欠点を欠点ではなく、プラスで生かさないといけないですからね。それに最近、ラジオ番組のディレクターさんにいいフレーズをつけていただいたんですよ。「妖艶」という言葉がありますけれど、その「妖」を幼稚園の「幼」に替えて「幼艶」って……若干、失礼ですよね(笑)。もともとは私の大人の魅力をアピールするというコーナーが番組内であったんですけど、私が「ドヤ!」って感じでアピールしても、残念な反応しか返ってこなくて「もう生涯妹でいい!」みたいな投げやりな言い方をしたときに「桜さんには幼艶という武器があります!」と言われてくやしくも納得しました。これからはその〝幼艶〟を何とか自分の武器に取り入れていこうと思っています(笑)。

『CCさくら』のさくらはかわいさの粋を集めて演じていた

名称未設定 1 TVアニメ『カードキャプターさくら』が放送されたのは1998年から2000年にかけてのことでした。それだけ時間がたっていても、つい先日の台湾で開催されたイベントで「『カードキャプターさくら』見たことあるひとー?」と聞いたときにほぼ全員が手を挙げてくれるんですよね。通訳の方にお聞きしたら、BSでオンエアされていたのでほぼ日本と同時期くらいに皆さんご覧になっていて、みんな大好きなんですって。オーストラリアに行っても、みんな知っていましたし、世界中に広まっているんですよね。また、2014年はグッズもたくさん出ました。『こえだちゃん』とのコラボもあるんですけど、まさに私は『こえだちゃんと木のおうち』を持っていたくらいのストライクな世代なので(笑)、歴史を超えてのコラボには感慨深いものがあります。放送されていた当時も『カードキャプターさくら』はとても大きな存在だったんですけど、15年くらいたってさらにここまで大きくなるとは思わなかったですね。
 これだけ大きな作品の主役を務めるのも初めてでしたし、大ファンだったCLAMP先生の作品で、さらに名前が私と一緒ということで、より思い入れは強かったです。作品スタッフの方が取材で「名前が一緒だったからキャスティングしたわけじゃありませんよ」と言ってくださっていましたけど、私としては運命を感じずにはいられない、ずっと「出たい!」と思っていた作品でした。
 桜ちゃんはある意味、優等生でありトップアイドル。アイドルとしての崩せないラインみたいなものがあって、私のできるありったけのかわいさの粋を結集させて演じていたので、それだけちょっと大変でもありました。もちろん、他のキャラクターでも妥協はできないんですけど、さくらちゃんはとくにそうでしたね。演じるときは、いつも最初に準備運動から。「私、木之本桜。友枝小の~」という第1話の自己紹介を言ってから、「大丈夫、さくらちゃんになった!」という感じで演じていました(笑)。

 そういう大変さはあったんですけど、さくらちゃんを見ているとやっぱり癒やされますよね。優しくて、みんなから愛されている、本当にかわいい女の子。私は年下系の女の子を演じさせていただくことが多かったので、そういう女の子たちを演じると、その日はずっとふんわりとした気持ちで過ごせていたんですよ。これがさくらちゃんのいう“幸せの魔法”かなって、その当時は思っていたりしたんですけど、演じている私ですらそうだったので、たぶん見ている方はより「はにゃ~ん」となっていたのではないでしょうか。

 

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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