声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


_1-1_2642

松本保典の声優道

『サザエさん』『ドラえもん』の2大国民的アニメをはじめ、多くの作品に出演。ヒーローから悪役、コミカルなキャラクターまで幅広い役柄をこなし、外画吹き替え、ナレーション、舞台でも活躍している松本保典さん。これまで松本さんが歩んできた声優道を、全3回のトークでお届けします。

プロフィール

松本保典 まつもとやすのり…2月7日、千葉県生まれ。シグマ・セブン所属。主な出演作は、アニメ『サザエさん』(波野ノリスケ)、『ドラえもん』(野比のび助)、『超音戦士ボーグマン』(響リョウ)、『鎧伝サムライトルーパー』(闇魔将・悪奴弥守)など。また劇団すごろく座長も務め、現在はシグマ・セブン声優養成所で後進の育成にも尽力している。

抽選で2名様に、松本保典さんの
サイン入りポラロイドをプレゼント!
①名前②住所③年齢④電話番号
⑤声グラwebの感想
を明記のうえ、こちらからご応募ください!
たくさんのご応募お待ちしております♪
締め切り:2017年10月6日(金)23:59まで

②番組収録よりずっと長かった、先輩との飲み会

番組収録よりずっと長かった、先輩との飲み会

 アニメ『マンガ日本経済入門』で初レギュラーを経験した僕は、その後、あるオーディションに受かって仕事がつながっていきました。それが、初めてTVシリーズで主役をやった作品『超音戦士ボーグマン』でした。劇団でも主役なんてやったことがなかったし、芝居にもまだ自信がなかったので、決まったときは「え、俺でいいの?」と期待よりも不安のほうが大きかったですね。

 _1-1_2642共演している先輩からは「お前が番組の座長なんだから、もっとグイグイ引っ張っていかないと」なんて言われましたが、なかなかそういう気持ちにはなれなかったです。今のアニメの現場は同世代の若い人たちで構成されていることが多いけど、僕らの頃はメインを若手がやっても周りはベテランの方がほとんど。自分なんて一番ペーペーの下っ端だから、座長と言われてもしっくりこなくて(苦笑)。それでも先輩から「お前についていくんだから、堂々としてろ」と言われて、「そういうものなんだな」と。それで少しずつ覚悟が決まってきました。少しずつですが。

 収録現場では先輩から一方的に何かを言われるだけではなく、よく相談もしてました。収録後の飲み会でも……というか、むしろ飲み会のほうが長かったですね。収録の合間にある大先輩から「松、この後空いてるか?」と聞かれて「空いてます」と答えると、「じゃ、ちょっと行くか?」って昼間の3時頃から誘われて、そのまま午前3時まで12時間もサシで飲んじゃったり(笑)。
僕も嫌いじゃないので、「今からですか?」って言いながら、ホイホイついて行ったりして。
まぁ、そういう時代だったということもありますけど。今は同世代同士の現場が多いから、
先輩・後輩の付き合いも少ないかもしれませんね。

 そんな場で先輩方から聞けるお話は、演技論から武勇伝まで、激しくも本当に楽しかったです。自分からも「今日、どうですか?」なんて、よく先輩方にお声がけしてましたね。僕らがスタジオのロビーにいると、急にスタジオの扉から先輩が顔を出して、手で「7」の字を作って「今日これでな」って言うんです。そしてそれを受けてお店の予約をする。そう、「7」というのは「7人予約」という意味なんです。そういうことが当たり前でした。

 番組の打ち上げ旅行にもよく行きました。当然、僕たち新人はお金がないので、前もって積み立てをするんですよ。今の番組は大体1クールで終わるけど、当時は1年や2年続く番組がまだまだあったので、毎週500円ずつ積み立てていくと、終わる頃には僕らでも旅行できるくらいには貯まるんです。

 その集金係をやるのも、僕たち新人の役目でした。僕と年の近い山寺(宏一)くんや関(俊彦)くんとか、その頃新人だった人は、みんなやってるんじゃないかな。あの頃は番組のメンバー同士でどこかに行こうとか、何か遊びのイベントをやろうとか、そういう“番組のチーム感”みたいなものがあったような気がします。

2大国民的アニメ『サザエさん』『ドラえもん』に出演

 今から15年ほど前、アニメ『サザエさん』のノリスケ役をやらせていただくことになりました。『サザエさん』は僕が小学4年生の頃に始まった番組(1969年スタート)ですから“すごいベテランの方たちがいる現場”というイメージが強かったです。オーディションのときも僕よりはるかにキャリアのある方たちが受けていらして「こりゃ、(合格は)ないな」と思いました。すると数日後、劇団の大阪公演をやっているときに事務所から電話があって、「先日受けていただいた『サザエさん』のオーディションなんですけど……」「ああ当然ダメでしたよね」と僕。そうしたら「受かったよ」と言われて、「えーっ!」って。

 それが42歳のとき。他のスタジオでは最年長だったりしましたけど、『サザエさん』の現場では男優で一番年下でした。いろんな人から「『サザエさん』の現場は厳しいぞ」なんて聞かされていましたが、あれは噂が独り歩きしていたんでしょうね。実際はそんなこともなくて、波平役の永井一郎さんや、マスオさん役の増岡弘さんは面識がありましたし、皆さん、温かく迎えてくれました。

 _2-2_2546『サザエさん』のマスオの声が近石真介さんから増岡弘さんに変わったとき、「マスオさんの声が変わった」と僕の中では少し違和感があったんです。なので、自分がノリスケをやることになって、今まで観ていた人がどう感じるんだろう? と気になりましたね。僕の前にノリスケをやっていた荒川太朗さんとは友達同士でしたが、彼から継承するにしても何をどう継承するのか分からないし、何だかフワフワして自分でも定まらなかった。それで「もう自分の出来ることをとにかくやるのみ!」と開き直ったんです。

 もう一つ、10年ほど前から「ドラえもん」の“のび太のパパ”もやらせていただいています。この作品はキャストが総とっかえになったこともあり、前任者のことは考えず、ただ“お父さん”という部分を大事に演じています。どう演じたって、キャストが変わると違和感を持たれちゃう。だったら自分の側に寄せていこうと。『サザエさん』のときにそういう考え方になっていたし、『ドラえもん』のときにはある程度覚悟を決めてやってましたね。

 僕はそれまで、どちらかといえばヒーロー役として悪と戦ったり、SFやファンタジー的な作品が多かったのですが、ノリスケさんはごくごく普通に日常を生きているキャラクターなので、演じていて考えさせられることが多いです。普通の日常をちょっと面白い側にシフトさせていくにはどうしたらいいんだろう? って。『サザエさん』の現場では皆さんが軽々とそういう風にやってらっしゃるので、すごいと思いますね。日常を演じていく中でどうやってそれをエンターテインメントとして見せていくのか? という部分では、『サザエさん』という作品は本当に考えられているし、だからこそ、長い間続いているのだと思います。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

ページの先頭へ戻る