声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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松本保典の声優道

『サザエさん』『ドラえもん』の2大国民的アニメをはじめ、多くの作品に出演。ヒーローから悪役、コミカルなキャラクターまで幅広い役柄をこなし、外画吹き替え、ナレーション、舞台でも活躍している松本保典さん。これまで松本さんが歩んできた声優道を、全3回のトークでお届けします。

プロフィール

松本保典 まつもとやすのり…2月7日、千葉県生まれ。シグマ・セブン所属。主な出演作は、アニメ『サザエさん』(波野ノリスケ)、『ドラえもん』(野比のび助)、『超音戦士ボーグマン』(響リョウ)、『鎧伝サムライトルーパー』(闇魔将・悪奴弥守)など。また劇団すごろく座長も務め、現在はシグマ・セブン声優養成所で後進の育成にも尽力している。

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締め切り:2017年10月6日(金)23:59まで

③やってみたいと思っていたアドリブも楽しめるように

やってみたいと思っていたアドリブも楽しめるように

 最初の主演アニメ「超音戦士ボーグマン」の頃は、OKが出ても、どこが良かったのか、自分ではよく分からないというあり様でした。そこから少し慣れてきていろいろ楽しんでやれた作品となると、勇者シリーズの「太陽の勇者ファイバード」でしょうか。その主人公をやったときは、思い切ってやってみたアドリブだったり、自分のやった演技が後々の台本などに活かされたりして、「これは楽しいな」と思いました。

 _3-1_2668この作品では永井一郎さんと滝口順平さんが一緒でした。滝口さんは悪の親玉役で、現場で初めてお会いしたときは「あ、タイムボカンの“おしおきだべぇ”の人だ!」って(笑)。お二方とも毎回、ルーティンワークのような取り組み方ではなく、がっつり作品と向き合って芝居をつくっていたのが、印象的でした。しかも芝居だけじゃなく、アドリブもすごい。 八奈見乗児さんと初めて共演した時は「この人、真面目にやっているんだろうか?」と思ったくらい、すーっと力の抜けたところで変則的な球が来る感じなので、芝居で絡むのに本当に気が抜けない。楽しいけど大変でした。

 僕がいた劇団の座長だった緒方賢一さんは元々お笑いが好きで、舞台でもアドリブを入れながら芝居をやっていました。収録現場でもアドリブをやられるから「時と場合によってはやってもいいんだ」と、自分でもチャンスがあったらやろうとは思ってはいたんです。でも最初の頃は緊張してガッチガチで……。ボーグマンでご一緒させていただいた井上和彦さんは
肩の力の抜けた何気ない一言をふっとはさんでくるから、
「ああ、こんな風にやれたらいいなぁ」といつも思っていました。
劇団の中で芝居をするだけでは、これだけの体験を重ねることはむずかしいので、
割と早めに外の現場に出られたことはラッキーだったと思います。

デビューするより、続けることの方が大変

 今、この世界に憧れて入ってくる方は多いと思いますが、実はデビューすることよりも続けることの方が大変なんですよね。上手いだけでも続かないし、人とのつながりも大事にしないといけない。長く続けるためには、一つには縁というものが大きいのかなと思います。スタッフとのつながりだったり、作品や役との縁だったり。オーディションだけでなく、そういう縁の中で仕事が続いたりもしますから。

 もう一つは、それまでの仕事の現場で何をしてきたのかが大きいと思います。なので、地味な話だけど、その場その場でできる事をせいいっぱいやって自分の爪跡を残していくことが大事なのかなと。僕も何かしら残していこうとは思って、毎回仕事に臨みます。常にうまくいくわけじゃないけど、それが縁というか、次へのつながりを生んでくれるのではないかと思っています。

 僕ら声優は、現場に行ってマイク前に立つときは「役と向かい合うのは自分だけ」という意味で、常に一人なので、表現を自己修正していく力をある程度必要とされるんですが、時にはいろいろな方から話を聞くことも大事です。自分の“やったつもり“は、オンエアを見ると目論みと違ったりしますから、そのとき自分を客観的に見てくれている他人の意見を聞くのは大事ですよね。だからもし「人とつき合うのは面倒臭い」と思っている人がいたら、「それはそれで大事だよ」と言ってあげたい。年をとって自分が先輩と言われる立場になってしまうと、なかなかアドバイスしてもらえなくなってきますからね。

舞台もアニメも根っこは一つ

 「アニメや漫画、ゲームが好きだから声優になりたい」という話をよく聞きますが、それはきっかけにすぎません。最終的には「表現者になる」という認識を持ってほしいです。演技を含め、表現することが好きになれるかどうかが大事なんですよ。「アニメやゲームが好き」というのはモチベーションの一つかもしれないけど、今では、この業界ではない方々も声優として活躍していて、要は表現力さえあれば、アニメ大好きじゃなくてもやれてしまう、というのが本当のところです。

 _3-2_2622僕らの頃は、どうすれば役者や声優になれるのかすら分からない時代でしたが、今は養成所なども多く、具体的に道筋が見えるので、きちんと表現者になることを目指してほしいと思います。その結果として自分の好きなアニメやゲームで活躍できたら、こんなに楽しいことはないですよね。僕自身もアニメ世代で、それこそ僕の子供の頃に日本のTVアニメが始まったので嫌いなわけがない。僕がこの世界に入った頃は、アニメの仕事は外国映画よりもやや下に見られる風潮がありましたが、僕自身にはそういう区別がなくて、
アニメだろうが外国映画だろうが、映像の仕事だろうが、
「根っこは一つ」という気持ちでやってきました。

 舞台は演出家から言われたことを吸収して自分の考えた事と合わせて、己の肉体と感情で、表現をつくり上げていきます。それは、台詞の間も含めて。それが声の仕事になると、お芝居の間から表情まで、他人がつくった出来上がったものに合わせていくという世界。最初は違和感があって、手こずりました。でも試行錯誤していくうちに、舞台をやっているかのような感情の流れや気持ち良さへの納めどころが、ちょっとずつわかって来たという気がします。

 ちょっとおこがましいんですが、僕は声の仕事のとき、それこそ“吹き替えている”かのようにしゃべるのではなく、自分が全身で演じているかのように、画面というか、作品の世界の中にいたいと思っています。その辺は、いまだに試行錯誤していますけどね。よく“声をあてる仕事”なんて言われますけど、「それだけじゃないよ」とは言っておきたい。別にこれは、僕だけの特別な意見ではなくて、演技の理屈がわかっている人ならみんな同じことを思っていると思います。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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